
多くの生成AIサービスはクラウド型として展開されていますが、自社や自宅のパソコンで稼働する「ローカル型の生成AI」に関心を持つ人が増えています。ローカル型はクラウド型と比べてセキュリティリスクを抑えられるのが大きな特徴と言えます。
ただし、ローカル型を導入するうえで注意したいのがコスト。有料・無料に関わらず、アカウントを作成すれば比較的手軽に利用できるクラウド型サービスとは異なり、自身のパソコンやサーバーにAIモデルや実効ツールを自ら準備し、環境を整える必要があります。
また、自分のパソコンで運用するためには、ある程度のスペックが必須で、性能不足のパソコンでは、せっかくの生成AIを十分活用することができません。そこで今回は、ローカル型の生成AIを使いこなすための環境構築に関する基礎知識を解説していきたいと思います。
目次
1.ローカルで稼働する生成AIとは
ローカルで稼働する生成AIとは、自身のパソコンや社内の端末上でAIモデルを動かし、文章生成や要約、画像生成などを行うことです。
クラウドなどの外部サービスにアクセスして使うのとは異なり、実行環境そのものを自身で保有することが大きな特徴となります。
1-1.生成AIにおけるローカル型とクラウド型の違い
クラウド型と呼ばれる生成AIは、提供事業者のサーバー上でAIが稼働し、ユーザーはブラウザや実行ツールなどを経由して利用することになります。導入の手軽さや初期設定の少なさなど、特に専門的な知識がなくても、すぐに試すことができるのが大きな強みです。ただし、入力内容の扱いや通信環境への依存、継続的な利用料金など、様々なコストやリスクというものも避けられない点は注意が必要です。
それに対してローカル型は、モデルや実行環境を自前で用意し、自分の端末や社内環境で処理することになります。そのため、導入時の準備や実際に稼働させるパソコンの性能などの影響を受けてしまいますが、データの取り扱いや運用条件などを自分たちでコントロールできることが大きな特徴となります。

| ローカル型とクラウド型の主な違い | ||
|---|---|---|
| 比較項目 | ローカル型 | クラウド型 |
| 処理場所 | 自分のパソコンや社内サーバーなど手元の環境 | 提供事業者のサーバー |
| 情報の流れ | データは基本的に外部に送信されず、ローカル環境内で完結 | 入力した内容がインターネット経由で、外部サーバーに送信される |
| 機密性・セキュリティ | 機密情報を外部に出さず、活用しやすい | サービス側のポリシーやセキュリティに依存 |
| コスト | 環境構築のための初期コストが中心 | 従量課金や月額課金などランニングコストが中心 |
| 通信環境 | オフラインや社内ネットワークで運用可能 | インターネット接続が前提となることが多い |
| 導入・運用の手軽さ | 初期設定などに手間や知識が必要 | アカウント登録だけですぐに利用できる |
1-2.ローカルで稼働する生成AIの主な種類
ローカル型の生成AIには、文章生成や要約、質疑応答に向く言語モデル、画像を作る画像生成モデル、音声認識や音声合成に関わるモデルなどがあります。特に文章系の活用例が多く、議事録の作成や整理、社内文書や企画書の叩き台、検索補助などで利用されます。
その一方、画像生成やコード補助、音声処理まで視野を広げると、必要な計算資源や使い勝手は大きく変わってきます。同じ“ローカル型の生成AI”でも、用途によって必要なパソコン環境や選ぶべきツール、環境の構築なども、最適なものを選ぶ必要があります。

1-3.用途・目的別のローカル型生成AI
セキュリティ面やカスタマイズ性の高さから、注目を集めるローカル型の生成AIですが、大きくカテゴライズすると、テキスト生成、画像生成、動画生成、音声生成(合成)などの活用が進んでいます。
テキスト生成には、LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)と呼ばれる、膨大なテキストデータとディープラーニングによって構築された自然言語処理技術が使用され、チャットや文章の要約・生成などに活用されています。
一方、画像生成は、Stable DiffusionなどのAIモデルを使用し、テキスト(プロンプト)をベースに画像を生成。オリジナルのイラストやロゴなどの作成に役立てることができます。そして動画生成や音声生成(合成)は、画像やテキストから動画を作成したり、ボイスクローニング技術を使い、声色やイントネーション、感情なども含めた表現が可能となっています。なお、文字起こしなどで使用される音声認識ですが、LLMと組み合わせることによって、単なるテキスト化だけでなく、文脈の理解や要約などを可能にします。
なお、ローカル型生成AIは、ローカル環境内で学習した知識をベースに回答を行うため、特にテキスト生成(LLM)においては、知識の不足や最新情報の欠如といった問題が発生しやすくなります。そこで、回答前に、信頼性の高い専用データベースや社内データなどを検索し、それを参照することで回答の正確性および最新性を高める「RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)と呼ばれる仕組みを取り入れることで、LLMの強化が図られることがあります。
| カテゴリ | 機能 | 主なAIモデル | 主な実行ツール |
| テキスト生成(LLM) | チャット、文章の要約・生成・整理 | Llama 3、Gemma 2 | Ollama、LM Studio |
| 画像生成 | テキスト(プロンプト)から画像を生成 | Stable Diffusion 1.5、SDXL | Stable Diffusion Web UI、ComfyUI |
| 動画生成 | 画像やテキストから動画を生成 | Stable Video Diffusion(SVD) | Stable Diffusion Web UI、ComfyUI |
| 音声生成(合成) | テキストから自然な音声を生成 | Bark、Tortoise TTS | Bark GUI、TTS-WebUI |
2.ローカルで稼働する生成AIが注目される理由
特に企業などにおいて、ローカル型の生成AIが注目される背景には、性能そのものへの期待だけでなく、企業利用における現実的な課題があります。
特に、情報の取り扱い、ランニングコスト、社内環境との相性といった運用面の課題が、導入検討を後押しする要素となります。
2-1.機密情報を外部に出さずに活用しやすい
業務文書や顧客情報、社内のナレッジなどをAIによって処理する場合、入力した内容がどこで処理されるのかが大きな懸念材料となります。入力内容はオプトアウトしない限り、AIの学習用データとして再利用されてしまうため、特にクラウド型の場合は情報漏洩のリスクを抱えてしまうことになります。
逆にローカル型であれば、例え学習用データとして取り扱われても、あくまでもローカル環境における問題となるため、外部への流出リスクを最低限に抑えることができます。もちろん、ローカルだからといって無条件に安全という話ではありませんし、学習データとなった場合のリスクは決してゼロではありません。
とはいえ、情報の流れを把握しやすいこと自体に大きな価値があり、特にクラウドの利用に慎重な部門や組織において、生成AIを導入するための第一歩につながりやすいと言えます。

2-2.ランニングコストを予測しやすい
クラウド型の場合、利用量に応じた従量課金や機能追加による費用変動が起こるため、導入当初は比較的抑えやすいコストも、業務や社内利用の広がりによって、想定よりもコストが膨らんでしまうケースも少なくありません。毎月の利用量を細かく追い続ける必要があり、運用上の負担にもなってしまうのです。
ローカル型だと、初期の機材投資や導入作業においては、クラウド型よりも大きな負担となってしまいますが、導入してしまえば、その後のコスト構造を見通しやすいというメリットがあります。利用の拡大などにも対応しやすく、費用計画を立てやすくなる点は大きなメリットと言えます。

2-3.オフラインや社内環境でも運用しやすい
通信制限のある環境や、外部接続を制限したネットワーク環境においては、クラウド型のツールが使いにくいという問題があります。その一方で、ローカル型の生成AIは、通信環境をあまり気にせずに運用できるのが大きな特徴で、閉じた環境での活用を検討することができます。
特に、製造現場、研究部門など情報管理に厳しい組織では、常時インターネット接続を前提にしない仕組みが求められることがあります。そうした条件下でもローカル型は、導入候補として検討できる点が強みとなるのです。

2-4.用途にあわせてカスタマイズしやすい
ローカル環境では、使用するAIモデルや実行ツールなどを目的に応じて選びやすく、さらに細かな調整をしやすいのが大きな特徴。文章中心で使いたいのか、画像生成も視野に入れるのか、日本語性能を優先するのかなど、利用目的や用途に応じて、構成をフレキシブルに検討できる点が大きな魅力となります。
そして、実際の運用においても、社内ルールにあわせたり、限定された用途に向けたチューニングが施せるのもローカル型の強み。
クラウド型で提供される既製のサービスをそのまま利用するだけでは対応しにくい場合、ローカル型の柔軟性の高さは見逃せないポイントとなります。
3.ローカル型生成AIを使い始めるまでの流れ
ローカル型の生成AIを導入する際、最初から高性能な環境を揃えることを目指しがちですが、環境構築の前に、まずは生成AIで何をしたいのかを明確にすることが重要。使用環境や目的・用途にあったツールとモデルを選ぶことによって、過剰な投資や無駄な遠回りを避けることができるからです。
最初から完璧な環境を作ろうとするのではなく、まずは動かしてみて、自分たちの使い方や足りない部分などをひとつずつ把握しながら整えていくのが現実的な手法。導入のハードルを必要以上に上げてしまうと、かえって導入が進まないという問題も起こり得るのです。

3-1.目的にあう実行ツールとAIモデルを決める
最初に検討すべきは、生成AIを使って何をしたいのかという目的設定です。チャットや要約がメインなのか、画像生成も必要となるのか、社内文書の整理を中心に使いたいのかによって、選ぶべき実行ツールやAIモデルは変わってきます。逆にここを曖昧な状態にしておくと、環境選定がぶれてしまい、無駄なコストを掛けてしまうことになりかねません。
例えば、同じ言語モデルであっても、軽快さを重視したものと、表現力や推論力を重視したものでは使い勝手がまったく異なります。まずは用途を絞り込み、その目的に対して過不足のない組み合わせを考えることが重要となります。
3-2.パソコン環境を準備する
次に必要になるのが、モデルを動かすためのパソコン環境の確認です。現在使用しているパソコンでそのまま試せるのか、ビデオカード(GPU)の追加が必要となるのか、メモリやストレージに余裕があるのかなど、ひとつひとつをしっかりと整理していく必要があります。
ここで重要なのは、いきなりハイスペックの理想環境の構築を目指すのではなく、想定する使い方に現在のスペックが足りているかどうかの見極めです。もちろん、ハイスペックの環境はローカル型の生成AIを使う上では大きなアドバンテージですが、導入コストなどは当然跳ね上がってしまいます。パソコン環境を整える場合は、用途や目的にあったスペックを用意することが重要です。

3-3.実行ツールを入れてAIモデルを追加する
用途・目的などの方針が決まったら、実行ツールをインストールし、使いたいモデルを追加することになります。ツール側で扱えるモデル形式や導入手順が異なることもあり、相性の確認が必要になるという場面もありますので、慎重に作業を進めましょう。
この段階においては、いきなり多くのモデルを導入しすぎないほうが環境構築は進めやすくなります。まずは用途に応じた最低限のモデルに絞って試すことによって、操作感や処理速度を確認しながら、徐々に拡大していくのが理想的であり、現実的な手法となります。
3-4.まずはチャットや要約など簡単な使い方から試す
環境が構築できたら、最初はシンプルな使い方から試してみましょう。自由な会話、短い文章の要約、箇条書きの整理など、生成AIによってどのように結果が出力されるかを、しっかりと把握・検討できる作業から始めることで、モデルの特徴や限界を把握しやすくなるからです。
いきなり複雑な業務フローに組み込んでしまうと、出力結果が思わしくない場合、問題の切り分けが難しくなってしまいます。まずは小さく使い、出力の傾向や処理の重さを確認することが需要であり、検証を重ねながら、徐々に実務へと繋げていくことが大事です。
ローカル型生成AIを使用するまで流れ
- STEP1
目的にあう実行ツールとAIモデルを決める - STEP2
パソコン環境を構築する - STEP3
実行ツールを用意し、AIモデルを追加する - STEP4
チャットや要約など簡単な作業から試してみる
4.ローカル型生成AIを使用する際の注意点
ローカル型の生成AIは自由度が高い一方で、誰もがすぐに快適な環境を構築できるわけではありません。基本的に使いやすい環境がすでに構築されているクラウド型にはない準備や管理が必要ですし、モデル選定や利用ルールも自分たちで考えることになります。
特に業務利用では、性能不足やライセンス確認漏れ、情報管理の甘さなどがそのままトラブルに直結することもありますので、ただ利用できるというだけでなく、安定して使い続けられるかどうかも考える必要があるのです。
4-1.クラウド型より導入に手間がかかる
クラウド型は基本的にアカウントを作成すればすぐにでも利用できるサービスが多いのに対し、ローカル型は環境構築やツールの設定、AIモデルの追加などの初期作業が必要となります。エラー対応や相性の確認なども含めて、導入のための初期コストに対する負担は、金銭面に限らず、決して少なくありません。
そのため、とりあえず手軽に使いたいというニーズを満たすのは少々難しい場合もありますが、一方で、導入時の手間さえ乗り越えれば、後は自分たちの用途にあった運用に寄せやすく、長期的に見ればやはり高い自由度を保持できるというメリットがあります。

4-2.AIモデルごとに日本語性能や得意分野が異なる
同じように見えるAIモデルでも、日本語の自然さ、長文処理の安定感、要約の精度、コード補助の得意不得意など、それぞれに特徴があり、ただ有名というだけで選んでしまうと、自分の用途では期待した結果に繋がらないことがあります。
特に日本語中心で使う場合は、英語圏で高く評価されているモデルをそのまま利用してしまうと、想定外の結果に繋がることも。用途ごとの相性を見ながら、必要に応じて複数のAIモデルを併用するなどの運用、そして発想も重要となります。
4-3.ライセンスと商用利用の条件を確認する
ローカルで動くAIモデルや関連ツールは、自由に使えそうな場合でも、それぞれに利用条件が設定されています。特に個人利用と商用利用で扱いが分かれるケースは注意が必要ですし、再配布、改変、組み込みに条件が付くケースもありますので、導入前には必ず確認することが非常に重要となります。
業務で使う、つまり商用利用の場合は、技術面だけで判断せず、利用可能範囲などをしっかりと整理しておくことが重要です。使えるかどうかはもちろん大事ですが、どのように使ってよいかも明確にしておきましょう。
4-4.社内利用ではアクセス管理と情報の扱いに注意する
ローカル環境で生成AIを利用する場合でも、社内の誰もが自由に操作できる状態にしておくと、情報管理の点で問題が生じる可能性があります。保存先や利用ログ、権限設定、持ち出しの可否など、運用上のルール作りもしっかりと整えておく必要があります。
特に共有パソコンや共用サーバーで使用する場合は、入力内容や生成結果の扱いについても明確なルールを作っておくことが重要です。ローカルだから安心というのではなく、ローカルだからこそ、運用ルールの明確化は利用者の責務となるのです。
4-5.用途によって必要なパソコン環境が異なる
文章生成をメインに使うのか、画像生成も行うのか、複数人で利用するのかによって、準備しなければならないパソコンのスペックは異なってきます。もちろんハイスペックのパソコンやサーバーを用意すれば、どんな用途にも対応することは可能です。ただし、本来必要である以上のパソコンを用意することが、過剰投資となってしまいます。
しかし、その一方で、パソコンが性能不足だと、まともに生成AIが活用できず、まったく使われなくなる可能性も否定できません。そのため、まずは想定される作業の負荷を検討し、それに見合ったマシンスペックのパソコン環境を構築することが重要となります。
5.ローカル型生成AIを動かすために必要なパソコン環境
ローカル型の生成AIの使い勝手は、AIモデルの性能だけではなく、パソコンの性能に左右されます。生成AIがただ使用できることと、快適に活用できることの間には大きな隔たりがあります。
そのため、できるだけ快適に生成AIを利用できるパソコン環境を構築することが、ローカル型生成AIを使いこなすための第一歩と言えるかもしれません。
5-1.CPUだけでどこまで使えるか
軽めのAIモデルを使ったチャットや簡単な要約など、基本的かつ初歩的な用途であれば、CPUのパワーだけでも十分に生成AIを活用することは可能です。特に最近のモバイル向けCPUや「Intel Core Ultra」などは、AIの推論処理に特化した「NPU(Neural Processing Unit)」を搭載することによって、より高速なAI処理を可能としています。
ただし、現在のCPUに搭載されているNPUは、性能的にやや物足りない部分もあり、どちらかというと、CPUやGPUの負荷軽減や電力消費を抑えるという側面が重視される傾向にあります。

5-2.ビデオカード(GPU)搭載で快適さを向上
ビデオカード(GPU)は並列処理に優れていることもあり、生成AIを使う際の処理速度や安定性が非常に高いのが特徴。
簡単な文章生成だけでなく、高度な画像生成や、大きなデータを扱うような局面においては、まさに必須のパーツであり、ローカル型の生成AIを本格的に活用するのであれば、必ず用意したいところです。
特にゲーム用途でもAI処理が多用される現在において、AIを活用するのであれば、ビデオカードの搭載は必須。もちろん導入コストは大きな負担となりますが、ローカル環境で生成AIを利用する場合は、マストアイテムともいえる存在なのです。
GPUの性能は、特に画像生成や動画生成の分野で重視されますし、テキスト生成(LLM)、画像生成、動画生成など幅広い分野でVRAM容量が効いてきますので、できるだけハイエンドかつVRAM容量の大きなビデオカードを利用するようにしましょう。
また、動画生成は非常に負荷の掛かる作業となり、発熱も増大しますので、冷却性能についても注意する必要があります。

5-3.メモリとストレージはどれくらい必要か
ローカル型の生成AIを利用する場合、処理面においてはCPUやビデオカード(GPU)が重要となりますが、使い勝手や快適性という尺度では、メモリやストレージも大事な存在となりますので、ある程度は余裕のある容量を用意しておきましょう。
特にメモリ容量に余裕がないと、動作や処理が重くなったり、ほかの作業を同時並行的に処理するのが難しくなったりします。メモリ価格の高騰などで、導入コストにも大きく影響してしまいますが、長く、快適に生成AIを使っていくのであれば、無理のない範囲で、できるだけ大容量のメモリを搭載することをおすすめします。
ビデオカード(GPU)の性能があまり高くなく、CPUパワーに頼るような局面、特にテキスト生成(LLM)においては、メモリ容量の大きさが重視される点も覚えておきましょう。
また、RAGを組み合わせる場合は、参照用の専用データベースが必要となりますので、それに応じたストレージ容量を準備する必要があります。そして、特に社内データを活用する場合は、外部に漏れないようにデータ管理についても注意する必要があります。

| 【用途・目的別】特に重視したいポイント | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 目的 | メモリ容量 | GPU性能 | VRAM | ストレージ容量 | 冷却性能 |
| テキスト生成(LLM) | 〇 | 〇 | |||
| 画像生成 | 〇 | 〇 | |||
| 動画生成 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
| RAG | 〇 | ||||
6.ローカル型生成AI向けのパソコンを選ぶ際の確認ポイント
ローカル型の生成AIを使用するためのパソコン選びにおいて、単純な処理性能だけを考慮するのは不十分です。長時間稼働の際の安定性、設置場所との相性、将来的な拡張の余地、サポート体制までを含めて、しっかりと検討する必要があります。
特に業務利用においては、購入直後の性能よりも、今後長く使い続けた際に問題が発生しないかを考えることが重要。単純なスペックの数字だけではなかなか見えてこないポイントをしっかりと押さえておきましょう。
6-1.長時間運用を見据えて冷却性能を確認する
生成AIを使った処理は比較的負荷が高いこともあり、長時間の利用は発熱の増大に注意する必要があります。基本的にパソコンは熱に弱いため、しっかりとした冷却性能が確保されていないと、ファンの回転数が増えることで騒音レベルが上がったり、性能が不安定になったりするなどのトラブルが発生します。
つまり、実際の運用を考えると、ベンチマークテストなどによる短時間での指標だけでなく、継続して長く使用したときの安定性にも目を向けることが重要。冷却性能は、単純なパフォーマンスだけでなく、静音性にも繋がりますので、高性能CPUクーラーや水冷ユニットの採用、エアフローの確保なども事前にしっかりと検討しましょう。

6-2.使う場所に合わせて静音性を確認する
オフィスや自宅の作業環境によっては、単純な性能と同じように。パソコンの静音性も大事にしたい要素となります。負荷が高い処理が続くと、ファンの回転音などが大きくなり、人によっては意外なストレス源となることも珍しくありません。
先にも述べた通り、静音性は冷却性能との関係性が深く、特に冷却ファン周りは、低回転でありながら風量を確保できる、大口径型のファンがおすすめ。さらに高性能CPUクーラーや水冷ユニットなどを採用することで、騒音レベルを大きく抑えることができます。特に共有スペースでの利用を考えている方は、できるだけ静音性の高い環境を構築するようにしましょう。

6-3.将来のアップグレードを見据えて拡張性を確認する
ローカル型の生成AIを使い始めると、現状では満足がいかず、より大きなAIモデルやより新しい用途・目的での活用を試してみたくなることがあります。しかし、新たなAIモデルや実行ツールを使うためには、現状のスペックのままでは少々厳しくなる可能性があることも考えておく必要があります。
つまり、将来的なAIモデルのアップデートに備えて、パソコン側でもしっかりと拡張性を確保しておく必要があるわけです。メモリやストレージの換装・増設はもちろん、CPUやビデオカードの交換など、拡張性は長期スパンで検討しておくことが重要です。導入当初は十分以上の性能でも、用途やニーズに応じて、ちょっとした不満は生じやすいものです。その際に、買い替え前提ではなく、段階的に強化していくことを想定するのも重要な視点となります。

6-4.業務利用なら保証やサポート体制も確認する
特に業務で使うパソコンは、故障やトラブルによって使えなくなるというリスクを常に考えておく必要があります。いくら性能が高いパソコンであっても、決してトラブルとは無縁の存在ではありません。何かが起こったときの問い合わせや修理対応が不透明な状態では、運用上のリスクから逃れることはできません。
もちろん、トラブルや不具合はビジネスユースだけでなく、個人での使用でも避けられない事態です。ローカル型の生成AIの運用に限らず、少しでも長く、安定してパソコンを使用するのであれば、購入時から保証・サポートについてはしっかりと検討しておくことが重要となります。

7.ローカル型生成AIにおすすめのBTOパソコン
ローカル型の生成AIを使用するためのパソコンを購入するのであれば、用途や目的、予算などにあった最適な構成を比較的自由にチョイスできるBTOパソコンがおすすめ。そこで今回は、単純な性能面だけでなく、付帯的要素も充実し、保証・サポート体制も満足度の高いサイコムのBTOパソコンをピックアップしてみました。
7-1.映像編集に加えローカル型生成AIでも活躍:「Lepton Motion Pro II B850A」
映像編集に特化したクリエイティブPCとして人気の「Lepton Motion Pro」シリーズの最新モデルとなる「Lepton Motion Pro II B850A」は、「AMD Ryzen 9000」シリーズを採用したAMDプラットフォームの1台で、マイクロATXのミニタワー型でありながら、パワフルなパフォーマンスを発揮。映像編集だけでなく、画像・動画生成などのローカル型生成AIでの活躍も期待できます。
外観はコンパクトなミニタワー型ですが、タワー型ワークステーションにも劣らぬエアフロー、静音性、拡張性、堅牢性を実現。高負荷時でも安定性と静音性を両立します。標準構成のビデオカードは「NVIDIA GeForce RTX 5060 Ti」となっていますが、「NVIDIA GeForce RTX 5090」やフラッグシップの 「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell」などにカスタマイズするなど、用途や予算に応じてのパワーアップにもしっかり対応します。
Lepton Motion Pro II B850A

| 【Lepton Motion Pro II B850A】標準構成 | |
|---|---|
| CPU | AMD Ryzen 7 9700X (3.8GHz/8コア/16スレッド) |
| メモリ | DDR5-5600 32GB(16GB×2) |
| マザーボード | ASRock B850M Pro RS WiFi |
| SSD | 2TB(NVMe/M.2 SSD) |
| ビデオカード | NVIDIA GeForce RTX5060 Ti (16GB) |
| 外形寸法 | 幅261×奥行き471×高さ373mm |
7-2.デュアル水冷を採用したワークステーション:「Lepton Hydro WSZ890」
CPUとビデオカードをそれぞれ個別の水冷ユニットで冷却する、サイコムならではの「デュアル水冷」を採用した「Lepton Hydro」シリーズは、高い性能、そして冷却性能と静音性の両立を実現するハイエンドワークステーションとして、ローカル型生成AIへの活用も文句なしのポテンシャルを備えています。
標準構成は「Intel Core Ultra 7 270K Plus」と「NVIDIA GeForce RTX 5080」という組み合わせで、負荷の高い生成AI処理にも問題なく対応。メモリは32GB(16GB×2)、ストレージは1TBという構成ですが、適切な増量・増設によって、快適性をさらに向上させることも可能です。CPU・ビデオカードの冷却に水冷ユニットを採用していますので、発熱や騒音に悩まされることなく、安定した長時間運用ができる点も注目です。
Lepton Hydro WSZ890

| 【Lepton Hydro WSZ890】標準構成 | |
|---|---|
| CPU | Intel Core Ultra 7 265K(3.9GHz、20コア/20スレッド) |
| メモリ | DDR5-5600 32GB(16GB×2) |
| マザーボード | Intel Z890 チップセット |
| SSD | 1TB(NVMe/M.2 SSD) |
| ビデオカード | サイコムオリジナル Hydro LC Graphics® GeForce RTX5080 |
| 外形寸法 | 幅220×奥行き469×高さ490mm |
7-3.「AMD Ryzen Threadripper」のマルチコア性能を活かす:「Lepton WS4100TRX50A」
「Lepton WS4100TRX50A」は、圧倒的なマルチコア性能が魅力となる32コア/64スレッドの「AMD Ryzen Threadripper 9970X」を標準搭載した、AI・解析・大規模処理に最適なハイエンドワークステーション。CPUの冷却に水冷ユニットを採用しており、長時間稼働が求められるプロフェッショナルの現場でも安定したパフォーマンスが期待できます。
標準構成ではビデオカードに「NVIDIA GeForce RTX 5070(12GB)」を搭載していますが、使用するローカル型生成AIにあわせて、さらなる上位モデルやVRAM容量の大きなモデルにカスタマイズすることも可能。また、「AMD Ryzen Threadripper」がQuad Channelに対応していることから、メモリは64GB(16GB×4)という構成を採用。ECCレジスタードメモリのため、価格は高めとなりますが、最大256GB(64GB×4)までの増量にも対応しています。
Lepton WS4100TRX50A

| 【Lepton WS4100TRX50A】標準構成 | |
|---|---|
| CPU | AMD Ryzen Threadripper 9970X(4.0GHz/32コア/64スレッド) |
| メモリ | ECCレジスタードDDR5-5600 64GB(16GB×4) |
| マザーボード | ASUS Pro WS TRX50-SAGE WIFI |
| SSD | 2TB(M.2 PCI-E Gen5) |
| ビデオカード | NVIDIA GeForce RTX 5070(12GB) |
| 外形寸法 | 幅254×奥行き515×高さ522mm |
8.まとめ
生成AIはまだ登場したばかりのサービスではありますが、個人利用、商用利用に関わらず、非常に広い範囲での活用が進んでおり、特に企業にお勤めの方にとっては、無縁ではいられない存在となっています。
そして現在は、クラウド型サービスが花盛りといった様相を呈していますが、セキュリティリスクや使い勝手の面から、ローカル型の導入を検討している方も少なくありません。ローカル型としての運用は非常に期待値が高いものの、導入コストや専門知識の必要性などを考えると、なかなか積極的な導入には踏み切れない方も少なくないでしょう。
そこで今回は、ローカル型の生成AIの基礎知識から、実際に導入する際の流れや注意点について紹介してきました。ローカル型の導入を検討している方は、ぜひ本記事を参考にして、生成AIを使いこなせる環境構築を目指してみてください。

北海道の牧場で馬と戯れる日々を経て、パソコン雑誌やWEBニュース媒体の編集長を歴任する。Athlonに心奪われ、Xeonに絶対の忠誠を誓ったのも今や昔。現在は、編集業を中心に、原稿執筆からカメラマン、果てはアニメの宣伝プロデューサーまで、本業不明の生活を送る。ユーザーの心をがっつり掴む各種オウンドメディアを運営中。 プロフィールはこちら
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