
NVIDIAから最新GPUとなる「GeForce RTX 50」シリーズが発売されました。新世代アーキテクチャ「Blackwell」を採用した「GeForce RTX 50」シリーズは、性能と効率の両面で大幅な進化を遂げています。
AI技術を活用したDLSS 4やReflex 2の搭載により、ゲーム体験は新たな次元へ。高速なGDDR7メモリと強化されたレイトレーシング性能により、よりリアルで滑らかな映像表現も実現されています。
そこで本記事では、「GeForce RTX 50」シリーズの特徴やスペックをチェック。さらに、導入前に確認しておきたいポイントなどを解説していきます。
目次
1.GeForce RTX5000シリーズの特徴
1-1.新アーキテクチャ「Blackwell」を採用
「GeForce RTX」シリーズの最新モデルとなる「GeForce RTX 50」シリーズは、「Blackwell」と呼ばれるアーキテクチャを採用し、CUDAコア数の増加をはじめ、新世代のRT(レイトレーシング)コアやTensorコアを搭載し、性能を大幅に向上させているのが大きな特徴となっています。
フラッグシップモデルとなる「GeForce RTX 5090」のCUDAコア数は21,760で、メモリ帯域幅も1.8TB/sに達しています。AI演算性能を示す「AI TOPS」は3,352となっており、前世代の「GeForce RTX 4090」の1,321と比べると、約2.5倍に強化されています。
また、クロックあたりのパフォーマンスも向上に加え、電力効率も最適化。高度なグラフィック処理やAI演算を必要とする作業などにおいて圧倒的なパフォーマンスが期待できます。

1-2.高速な「GDDR7」メモリを採用
「GeForce RTX 50」シリーズでは、VRAM(ビデオメモリ)に「GDDR7」メモリを採用している点も大きな特徴となっています。
「GDDR7」メモリは、前世代の「GDDR6/GDDR6X」メモリよりも帯域幅と効率が大幅に改善されており、転送速度も最大30Gbpsに達します。そのため、高解像度かつ高フレームレートでの処理が従来よりもスムーズになり、4Kや8Kといった解像度でのゲームプレイや、複雑な3Dレンダリング作業も快適に処理できるようになります。
また、「GDDR7」メモリは「GDDR6/GDDR6X」メモリよりも電力効率も向上している点も注目です。
1-3.「DLSS 4」と「Reflex 2」で豊かなゲーム体験
「GeForce RTX 50」シリーズとあわせて、「DLSS 4」と「Reflex 2」という新たなテクノロジーが登場。ゲーム体験やリアルタイム処理性能の大幅な向上が期待できます。
「DLSS 4」は、AIを活用した超解像(アップスケーリング)技術「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」の最新版で、フレーム生成や画質補完の機能がさらに進化。「マルチフレーム生成(Multi Frame Generation)」機能は、AIを使用してレンダリングしたフレームごとに最大3つのフレームを生成することによってfpsを向上させます
「DLSS 4」は、「DLSS 3.5」に「マルチフレーム生成」機能を追加しただけでなく、「フレーム生成」「レイ再構築(Ray Reconstruction」「超解像度(Super Resolution)」「DLAA」などの従来から搭載されていた機能も強化されており、GeForce RTX20~40シリーズのGPUでもその恩恵を享受することができます。

一方、「Reflex 2」は、究極の応答性を実現するためにグラフィックス パイプラインを最適化し、競技ゲームでより速いターゲット捕捉、より速い反応時間、より正確な射撃精度を実現する「Reflex」の最新版。「フレームワープ(Frame Warp)」と呼ばれる新機能を追加が予定されており、マウス入力に基づいてディスプレイに送信される直前のフレームレートを更新することによって応答性を向上させます。
1-4.レイトレーシング性能の強化
「GeForce RTX 50」シリーズでは、レイトレーシング処理を司るRTコアが最新の第4世代に刷新されており、リアルタイムレイトレーシング性能が大幅に向上。高解像度環境でもリアルタイムで映画のような映像美を楽しむことが可能となっています。
特に光と影、反射表現などがより自然になり、映画品質のリアルな映像表現が求められるゲームやVRコンテンツ、建築ビジュアライゼーションなどでの没入感を大きく向上させます。
また、GPUに搭載されているハードウェアエンコーダー「NVENC」も第9世代へと刷新されており、従来より高い画質が期待できます。特に「GeForce RTX 5090」には「NVENC」が3基搭載されているため、処理速度の大幅な向上も見込めます。

2.「GeForce RTX 50」シリーズのスペック
2-1.「GeForce RTX 50」シリーズのラインナップ
Blackwellアーキテクチャを採用した「GeForce RTX 50」シリーズからは現在、2025年1月に「GeForce RTX 5090」「GeForce RTX 5080」、2月に「GeForce RTX 5070 Ti」が市場に投入されており、続いて3月に「GeForce RTX 5070」がリリースされました。

3.「GeForce RTX 50」シリーズを導入する際に確認すべきことは?
3-1.電源ユニットの容量とコネクタの確認
「GeForce RTX 50」シリーズのハイエンドモデルは消費電力が大きいため、十分な容量の電源ユニットを用意する必要があります。「GeForce RTX 5090」のTGPは575Wで、システム要件電力は1000Wとなっていますので、最低でも1000W以上の電源ユニットが必要となるわけです。
また、「GeForce RTX 50」シリーズでは、電源コネクタに12V-2×6規格を採用。従来の12VHPWRコネクタと完全互換でありながら、これまで問題となっていた負荷や接続不良によるトラブルに対応し、信頼性が向上しているのが特徴となっています。
従来の12VHPWRコネクタでも使用可能ですが、新たに電源ユニットを購入する際は、12V-2×6コネクタを備えたものをチョイスしましょう。
3-2.PCケースのサイズと冷却性能の確認
「GeForce RTX 50」シリーズのビデオカードのサイズは、同グレードの「GeForce RTX 40」シリーズと基本的には同じです。ただし、昨今のビデオカードは非常に大型化していますので、組み合わせたいPCケースにちゃんと収めることができるかどうかは事前にしっかりチェックしておく必要があります。
「GeForce RTX 4090」や「GeForce RTX 3090」などのハイエンドモデルは3スロット以上を占有するモデルがほとんどでしたが、「GeForce RTX 5090」も3スロット占有型が主流で、ボード長も30cmを上回るサイズとなっています。
ハイエンドのビデオカードを使用する場合は、「GeForce RTX 50」シリーズに関わらず、冷却性能が非常に重要となります。きっちりエアフローが確保できるかどうかが大切になりますので、PCケース内はもちろん、設置環境についても注意しましょう。
3-3.マザーボードとの互換性
「GeForce RTX 50」シリーズは、PCI Express(PCIe) 5.0対応になっている点も大きな特徴となっています。最近のマザーボードに搭載されているビデオカード用のPCIe x16スロットにはPCIe 5.0に対応したものが増えていますが、少し古めのマザーボードであればPCIe 4.0までしか対応していません。
PCIe 4.0のスロットにPCIe 5.0の「GeForce RTX 50」シリーズを挿しても、基本的には問題なく動作します。PCIe 5.0の帯域はPCIe 4.0の2倍となっており、性能をフルに発揮することはできませんが、極端に性能が落ちるということもありませんので、慌てて買い替える必要はないかもしれません。
現在、PCIe 5.0のグラフィック出力に対応しているマザーボードは、Intelプラットフォームであれば、LGA1851対応の「Z890」「B860」、LGA1700対応の「Z790」「B760」「Z690」「B660」などのチップセットを搭載した製品で、「600」シリーズ以降のチップセットを搭載したマザーボードであれば、PCIe 5.0のx16スロットをサポート可能となっています。
一方、AMDプラットフォームの場合は、ソケットAM5に対応した「X870E」「X870」「X670E」「B650E」などのチップセットを搭載した製品がPCIe 5.0のx16スロットをサポート可能となっていますが、ソケットAM5でも「X670」「B850」「B650」などのチップセットを搭載したマザーボードはPCIe 5.0 x16スロットをサポートしていません。
なお、対応チップセットを搭載したマザーボードでも、ビデオカード用のPCIe x16スロットがPCIe 4.0対応の製品も存在しますので、購入時などは必ずチェックしておきましょう。また、PCIe x16スロットのPCIeレーンはCPUがサポートするものなので、マザーボード側がいくら対応していても、例えば「AMD Ryzen 8000G」シリーズのようにPCIe 4.0までしか対応していないCPUを組み合わせた場合は、PCIe 5.0で出力することはできません。
3-4.ドライバとソフトウェアの対応状況
新しいGPUを導入する際は、必ずグラフィックドライバを最新のものに更新しましょう。ドライバが古いと、性能をフルに発揮することができません。また、使用しているソフトウェアやゲームが新しいGPUに対応しているかどうかもチェックが必要です。
特に、プロフェッショナルな用途で特定のソフトウェアを使用している場合、互換性の問題でトラブルが発生する可能性もあります。事前にメーカーの情報を確認し、必要に応じてアップデートを行いましょう。
なお、NVIDIAでは、ゲーム側の対応に関わらず、ドライバ側で最新バージョンのDLSSを有効にする「NVIDIA DLSS Overrides in NVIDIA App」を用意している点も注目です。

3-5.「GeForce RTX 50」シリーズへの買い替えは必要?
新たなGPUが登場したことを機会に、ビデオカードの買い替えを検討する方もいらっしゃるかもしれません。パソコンの寿命はおおよそ5年が目安と言われていますが、ビデオカードも同様。性能的な寿命を考慮すれば、「GeForce RTX 20」シリーズ以前のビデオカードを使用している方は買い替えを検討してもよいかもしれません。
もちろん、現状で特に不満のない方は無理に買い替える必要はありませんが、最新ゲームを美麗なグラフィック環境で快適に楽しみたい方や買い替えを検討している方は、価格などもあわせてしっかりチェックしましょう。現在は、ハイエンドおよびアッパーミドルの製品のみですが、今後はミドルレンジにも展開されますので、価格や入手性などもあわせてじっくり検討しましょう。
3-6.「GeForce RTX 50」シリーズならBTOパソコンがおすすめ
「GeForce RTX 50」シリーズは決して安価ではないため、パソコンやパーツに関する知識や経験に自信のない方は、導入に二の足を踏んでしまうかもしれません。そんな方でも安心して、「GeForce RTX 50」シリーズの性能を最大限に引き出すためには、BTOパソコンという選択肢も検討してみましょう。
BTO(Build To Order)パソコンは、いわゆる受注生産型のパソコン。自分で組み立てる手間なく、最新パーツで構成されたパソコンを入手することができるだけでなく、メーカーによるサポートが受けられるので、万が一のトラブルが発生した際も安心です。
次章では、BTOメーカー・サイコムの「GeForce RTX 50」シリーズを搭載可能なラインナップの一部を紹介しますので、参考にしてみてください。

4.サイコムの最新BTOパソコンを紹介
4-1.G-Master Spear Mini B850A
サイコムのゲーミングPC「G-Master Spear」シリーズにおいて、コンパクトサイズでありながら幅広いカスタマイズ性を確保した「G-Master Spear Mini B850A」は、ZEN 5コアの「AMD Ryzen 7 9700X」と「AMD B850 チップセット」搭載マザーボードの組み合わせを標準で採用したミニタワー型モデルとなっています。
ビデオカードは、標準では「GeForce RTX 4060」を搭載していますが、カスタマイズによって「GeForce RTX 5080」などの最新ビデオカードを組み合わせることが可能。予算に余裕があれば、CPUも「AMD Ryzen 7 9800X3D」にカスタマイズすることで、さらに快適なゲーミング環境を構築することができます。

「G-Master Spear Mini B850A」標準構成 |
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CPU:AMD Ryzen 7 9700X【3.8GHz、8コア/16スレッド】 メモリ:DDR5-5600 16GB(8GBx2) チップセット:AMD B850チップセット SSD:1TB(NVMe/M.2 SSD) ビデオカード:NVIDIA GeForce RTX 4060(8GB) |
4-2.Lepton WSZ890 Stream Box
ゲーム・動画配信に特化した「Lepton WSZ890 Stream Box」は、「Intel Z890 チップセット」を搭載した多機能マザーボード「ASRock Z890 LiveMixer WiFi」をベースに、「Intel Core Ultra 7 265K」を標準で組み合わせたハイスペックモデルとなっています。
DDR5-5600メモリを32GB(16GB×2)搭載しており、複数のソフトウェアを同時に使用する配信でも安定した動作が期待できます。また、ビデオカードは、ゲームをプレイしながらのライブ配信にもしっかり対応できる「NVIDIA GeForce RTX 4070 SUPER」を採用していますが、「GeForce RTX 50」シリーズにカスタマイズすれば、さらなる高みを目指すことも可能です。

「Lepton WSZ890 Stream Box」標準構成 |
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CPU:Intel Core Ultra 7 265K【3.9GHz、20コア/20スレッド】 メモリ:DDR5-5600 32GB(16GB×2) チップセット:Intel Z890 チップセット SSD:1TB(NVMe/M.2 SSD) ビデオカード:NVIDIA GeForce RTX 4070 SUPER(12GB) |
4-3.Premium Line Mini B860FD/E2
妥協なき部材の厳選と長期サポートによる末永い運用を前提としたプレミアムPC「Premium Line」シリーズにおいて、圧倒的にコンパクトなサイズ感と美しい外観が魅力の「Premium Line Mini B860FD/E2」は、標準構成では、「Intel Core Ultra 7 265K」と「Intel B860 チップセット」搭載マザーボードの組み合わせを採用しています。
メモリはDDR5-5600を32GB(16GB×2)搭載し、容量19Lというコンパクトボディに「GeForce RTX 4060 Ti」搭載ビデオカードを標準で採用。ゲーム用途にもクリエイティブ用途にも対応できる高いパフォーマンスも大きな魅力となっています。

「Premium Line Mini B860FD/E2」標準構成 |
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CPU:Intel Core Ultra 7 265K【3.9GHz、20コア/20スレッド】 メモリ:DDR5-5600 32GB(16GB×2) チップセット:Intel B860 チップセット SSD:1TB(NVMe/M.2 SSD) ビデオカード:NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti(8GB) |
5.まとめ
NVIDIAからリリースされた最新GPU「GeForce RTX 50」シリーズは、新世代アーキテクチャ「Blackwell」を採用。性能と効率の両面で大幅な進化を遂げており、搭載ビデオカードは非常に大きな注目を集めています。
AI技術を活用した「DLSS 4」などの機能によって、GPUのポテンシャルも底上げされており、高速なGDDR7メモリと強化されたレイトレーシング性能によって、よりリアルで滑らかな映像表現も実現されているなど、最新ゲームを楽しみたい方はもちろん、映像編集などのクリエイティブな用途での活躍も期待されています。
本記事では、「GeForce RTX 50」シリーズの特徴やスペックを簡単にまとめてみました。非常に高価なビデオカードですが、新たなゲーム体験や快適な制作環境を構築したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

父親の影響で、中学生からパソコンの自作を始める。秋葉原のPCショップでアルバイトをしながら学生生活を過ごし、現在は通信会社の子会社でシステムエンジニアとして勤務。週末は副業でPCやデジタルガジェット系のライターをしながら、今もアキバ通いを続けてます。BTOパソコンは奥が深いです、単に道具として使うだけではなくパーツ選びも楽しみましょう!
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- 高品質なパーツを採用した納得の標準構成と厳選されたオプションパーツでシンプルなカスタマイズが楽しめる新機軸のゲーミングPC!コストパフォーマンスに優れたAMD Ryzen 5000シリーズ搭載モデルです。
- 10位Radiant GZ3500B760/D5
- インテル CoreプロセッサとDDR5メモリを搭載するATXミドルタワー型モデル。BTOならではのカスタマイズの幅が広いスタンダードなモデルです。