電源容量シミュレーター

電源ユニットの選び方

電源ユニットを選ぶ際、もっとも最初に検討するのは電源容量です。電源容量が不足すると、パソコンは正常に動作することができません。“大は小を兼ねる”と言いますが、電源容量も少ないよりは大きいほうがトラブルを回避できます。しかし、必要以上に電源容量の大きい電源ユニットは、省エネという観点ではムダが多く、パソコン全体の安定性の面でも、省電力性という面でも、できるだけ最適な容量の電源ユニットを選ぶことが求められるのです。

「電源容量シミュレーター」で、パソコンを構成する各種パーツを選択すれば、自動的にシステム全体の消費電力を計算し、推奨電源ワット数が表示されますので、電源ユニット選びの参考にしてみてください。

電源容量シミュレーター

CPU
0 W

ビデオカード
0 W

ファン

固定

0 W

マザーボード
固定
20 W

メモリ

デスク用メモリ

0 W

ストレージ

NVMe SSD

2.5インチSSD

HDD

0 W

光学ドライブ

SATA DVD/BD

0 W

合計 0 W

推奨電源ワット数

※本表の内容は理論値に基づいており、実際の販売構成とは異なる場合があります。

Sycom公式サイト

電源容量の目安

電源ユニット選びにおいて、「変換効率」は非常に大切な要素となります。変換効率は、家庭用コンセントから出力される交流電源を直流電源に変換する際の効率を意味する値です。例えば変換効率が80%の500W電源で500Wの直流電力を供給するためには、625W分の交流電力が必要となります。

「変換効率」が高いほど、実際の消費電力を抑えることが可能となりますが、多くの電源ユニットでは、負荷率が50%のときに、この変換効率が最大になる傾向にあります。

つまり、500Wの電力が必要な場合は、負荷率が100%となる500W電源ではなく、負荷率が50%の1000W電源を使用したほうが、実際の消費電力を低く抑えることができるわけです。

負荷率が低いということは、消費電力が抑えられるだけでなく、電源ユニット自体の寿命にも大きく影響します。パソコンを安定して、長く使用するためには、必要W数の2倍程度の電源容量を持つ電源ユニットを選ぶのがベストであり、これが「電源容量シミュレーター」において、総消費電力以上の電源容量が推奨されている理由となります。

「80PLUS」と「Cybenetics」

電源ユニットにおける「変換効率」の重要性を説明しましたが、この変換効率を示す指標として「80PLUS」と呼ばれる規格があります。この「80PLUS」は、変換効率が80%以上であることを保証する規格なので、電源ユニットを選ぶ際は、「80PLUS」認証の有無にも注目しましょう。

「80PLUS」には、STANDARDからTITANIUMまで6つのグレードがあり、TITANIUMの変換効率がもっとも高くなりますが、グレードが上がるにつれて、電源ユニットの値段も高くなる傾向にあります。長時間、負荷の高い状態で使用するような環境であれば高グレードのものが必須となりますが、メールやインターネット閲覧、オフィス系ソフトを使うようなビジネス用途や軽めのゲームを楽しむカジュアル系の用途であれば、あまり高グレードである必要はありません。自分の用途と予算を考慮しながら、最適なグレードをチョイスしましょう。

「80PLUS」の変換効率
負荷率20%負荷率50%負荷率100%
STANDARD80%80%80%
BRONZE82%85%85%
SILVER85%88%85%
GOLD87%90%87%
PLATINUM90%92%89%
TITANIUM92%94%90%

また、最近では「Cybenetics」の開発した「ETA」認証を採用する電源ユニットも増えつつあります。「ETA」認証は、変換効率に加えて「力率」「5VSB変換効率」「待機電力」などの項目によって、BRONZEからDIAMONDまでの6グレードで評価されており、「80PLUS」よりも厳格な指標とされています。

Cybenetics「ETA」認証
認証変換効率力率5VSB変換効率待機電力
BRONZE82%以上85%未満0.950以上>71%0.25W未満
SILVER85%以上87%未満0.960以上88% >73%0.22W未満
GOLD87%以上89%未満0.970以上90% >75%0.19W未満
PLATINUM89%以上91%未満0.975以上>76%0.16W未満
TITANIUM91%以上93%未満0.980以上>77%0.13W未満
DIAMOND93%以上0.985以上>79%0.10W未満

現在では、「80PLUS」のみの製品が多くなっていますが、両方の認証を取得している製品もありますし、Cybenetics「ETA」のみに舵を切っているメーカーもあります。変換効率の規格においては、まさに過渡期という状況となっていますので、いずれの規格についても、その内容を理解しておくことが重要と言えます。

なお、Cybeneticsには、静音性に関する「LAMBDA」と呼ばれる認証も用意されています。一般的に、騒音レベルはdB(A)などで表現されますが、「LAMBDA」ではSTANDARD~A++まで7つのグレードに分類することによって、より直感的に判断できる指標となっています。

Cybenetics「LAMBDA」認証
STANDARD40dB(A)以上45dB(A)未満
STANDARD+35dB(A)以上40dB(A)未満
STANDARD++30dB(A)以上35dB(A)未満
A-25dB(A)以上30dB(A)未満
A20dB(A)以上25dB(A)未満
A+15dB(A)以上20dB(A)未満
A++15dB(A)未満

電源ユニットのサイズについて

電源ユニットには、「ATX」と「SFX」と呼ばれる規格があり、一般的なデスクトップPCには「ATX」の電源ユニット、小型の省スペースパソコンには「SFX」の電源ユニットが主に使用されます。パソコンショップなどで販売されている電源ユニットはほとんどが「ATX」規格の電源ユニットで、容量などの選択肢が非常に多くなっているのが特徴です。なお、小型PCやスリムPCで採用される「TFX」や、サーバー/ワークステーションなどで使用される「EPS」と呼ばれる規格も存在します。

「ATX」の電源ユニットは、幅150×奥行き140×高さ86mmが基本サイズとなりますが、電源ユニットによっては、奥行きに若干の違いがあり、電源容量の大きいものほど長くなる傾向にあります。「SFX」の場合は、幅125×奥行き100×高さ63.5mmのものが主流となっていますが、奥行きを伸ばすことで、電源容量と冷却性能を高めた「SFX-L」と呼ばれる規格もあります。

電源ユニットのATXとSFXの基本サイズ
規格名サイズ(幅×奥行×高さ)mm
ATX/EPS150×140×86
SFX125×100×63.5
SFX-L125×130×63.5
TFX85×175×65

なお、ATXというのはサイズの規格ではなく、Intelが策定したマザーボードや電源ユニットなどを含む構造全体の規格です。
あまり意識する必要はありませんが、最新のハイエンドビデオカードを利用する場合は、最新の「ATX3.1」に準拠した電源ユニットを選ぶのがおすすめです。

電源ユニットとは?

パソコンを動作させるためには電気が必要です。つまり、何らかの手段を用いて電力を供給しなければなりません。そこで、一般的なデスクトップPCに電力を供給するために使用するパーツが「電源ユニット(Power Supply Unit / PSU)」となります。

電力供給のために電源ユニットが使用されるのは、パソコンを構成するパーツが、家庭用コンセントから取り出せる交流電源(AC)をそのまま利用することができないからです。電源ユニットは、交流電源を各パーツが利用できる直流電源(DC)に変換する、つまり、100Vの交流電源を、PCパーツを動かすために必要な+12Vや+5V、+3.3Vなどの直流電源に変換するという非常に重要な役割を担っています。

さらに、パソコンを安定して動作させるためには、安定した電力供給が必須です。不安定な電力供給は、トラブルや故障を引き起こす要因となります。家庭用コンセントから供給される電力は、その他の機器、例えばエアコンやドライヤー、電子レンジなどの使用状況によって変動することがあるため、電源ユニットには出力の安定性も求められるのです。

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