「簡易水冷」のメリットとデメリットを知る - 「本格水冷」や空冷CPUクーラーと比較した「簡易水冷」の特徴を解説

「簡易水冷はやめておけ」。水冷の導入を検討している時に、そんな言葉を囁かれると、不安を感じてしまう方もいるかもしれません。特にメンテナンスフリーをうたう簡易水冷は、知識や経験の少ない初心者の方にとっては強い味方となるはずなのに……。

はたして本当に簡易水冷は避けたほうがよい選択肢なのでしょうか。簡易水冷よりは本格水冷、あるいは空冷のCPUクーラーがベストな選択肢なのでしょうか。

そこで今回は、簡易水冷のメリット、デメリットを本格水冷や空冷のCPUクーラーと比較。その特徴や導入時の注意点などを解説していきます。水冷式の導入を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.簡易水冷と本格水冷

1-1.「簡易水冷」と「本格水冷」

CPUやGPUを冷却するためには、「空冷式」と「水冷式」の大きく2通りがあります。この「水冷式」では「水冷ユニット」を利用しますが、水冷ユニットは基本的に、CPUなど冷却する対象に接触する「ヘッド(水枕、ウォーターブロック)」、「クーラント」と呼ばれる冷却液を満たした「リザーバータンク」、熱を吸収したクーラントの放熱を行う「ラジエーター」などのパーツを「チューブ」でつなぎ、「ポンプ」を使ってクーラントを循環させることで冷却を行います。

そして、この「ヘッド」「リザーバータンク」「ラジエーター」「ポンプ」などの各パーツがそれぞれ独立した水冷ユニットを「本格水冷」、「ヘッド」と「ポンプ」を一体化し、リザーバータンクをなくした水冷ユニットを「簡易水冷」と呼びます。簡易水冷はすべてのパーツが一体化した構造となっているため「一体型水冷」と呼ばれることもあります。

1-2.「簡易水冷」と「本格水冷」の冷却方法

「簡易水冷」も「本格水冷」もクーラントをポンプで循環させることによって、CPUなどの発熱を吸収し、ラジエーターで冷却するという基本的な構造は同じです。

両者の決定的な違いは「リザーバータンク」の有無。リザーバータンクは、クーラントを貯蔵することが最大の役割ですが、温度によるクーラントの体積変化を吸収したり、気泡の混入を防いだりする役割も担っています。また、一時的にクーラントが貯蔵されるため、排熱効率を高める効果も期待できます。

また、ポンプが、「簡易水冷」ではヘッド、「本格水冷」ではリザーバータンクに取り付けられることが多いのも両者の違いとなります。

1-3.「簡易水冷」と「本格水冷」の違い

「本格水冷」は拡張性の高さが特徴。ヘッドなどの各パーツが独立しているため、パーツの組み合わせの自由度が高く、ヘッドを増やしてGPUも冷却する、ラジエーターのサイズを大きくしたり、数を増やしたり、より強力なポンプを使うことで冷却性能を高めるなど、環境や目的にあわせて、ユーザーの創意工夫で、機能性を高めることができるのは「本格水冷」ならではです。また、クーラントも自由に交換できるので、色付きのクーラントを利用してビジュアル面を高めることも可能です。

ただし、カスタマイズするためには、ある程度の知識や経験が必要です。パソコン内部は基本的に水気厳禁ですから、設置がうまくできず、水漏れなどが起った場合、パソコンの致命的な故障を引き起こす可能性もあります。また、クーラントが蒸発などで少なくなると効果的な冷却ができなくなりますので、定期的にリザーバータンクの水量を確認するなどのメンテナンスも必要となります。

一方、「簡易水冷」は、“一体型”とも呼ばれる通り、基本的に拡張性はありません。ヘッドやラジエーターを交換・増設することはできませんし、もちろん、クーラントの交換などにも対応していません。購入したものをそのまま使用するのが原則となります。

そのため、完全に密閉した構造になっており、チューブなどもクーラントが蒸発しにくい素材が使用されているため、基本的にはクーラントの蒸発による減少を気にする必要はなく、メンテナンスフリーで使用できる製品がほとんどです。また、ユーザー自身で組み立てる必要はなく、パソコンへの組み込みも簡単なので、知識や経験に自信のない初心者の方でも安心して利用することができます。

本格水冷簡易水冷
拡張性高い低い
メンテナンス必要不要
高度な知識必要不要

1-4.「簡易水冷」と「本格水冷」の冷却性能

「簡易水冷」をあまり評価しない方の多くは、「冷却性能」が低いというイメージが強い傾向にあります。すなわち、「簡易水冷」は冷えないから、水冷式なら「本格水冷」にしたほうが良いおという指摘になるわけですが、本当に「簡易水冷」は冷えないのでしょうか?

「簡易水冷」の冷却性能を左右する最大のポイントは「ラジエーター」です。ラジエーターがしっかりとクーラントを排熱できれば、「簡易水冷」でも問題なくCPUなどを冷却することは可能です。「簡易水冷」のラジエーターには、120mm、240mm、360mmなど様々なバリエーションがあります。あまりCPUに負荷を掛けないビジネス用途などのパソコンであれば、120mmサイズのラジエーターでも十分ですが、ゲーミングPCやクリエイターPCなど、高負荷で長時間稼働することが前提のパソコンの場合、240mmや360mmサイズのラジエーターを備えた簡易水冷が必須。大型ラジエーターを備えていれば、簡易水冷でも十分冷却することが可能なのです。かつて、ラジエーターサイズの小さな「簡易水冷」が多かったことが、冷えないというイメージに繋がったのではないかと思います。

そして、ラジエーターが冷却性能を左右するのは「本格水冷」も同じです。「簡易水冷」と同様、ラジエーターのサイズが小さいと、高い冷却効果は発揮されません。水冷システムの冷却性能は、CPUなどの発熱を吸収したクーラントを、いかにラジエーターで排熱できるかが鍵。ラジエーターだけの問題というほど単純ではありませんが、最大のカギはラジエーターが握っているのです。

「本格水冷」は、ラジエーターを大型のものに変更したり、複数を組み合わせたりすることで、冷却性能を高めることができますが、「本格水冷」だから冷えるというわけではありません。それと同様に、大型のラジエーターを備えていれば、「簡易水冷」でも十二分な冷却性能を発揮することができるわけです。

1-5.「本格水冷」と「簡易水冷」、どちらを選ぶ?

ここまで見た通り、「本格水冷」だから冷える、「簡易水冷」だから冷えないとは言えず、大型ラジエーターを備えた製品であれば、「簡易水冷」でも十分な冷却性能を引き出すことができます。一方の「本格水冷」が冷えるというのは、ラジエーターの強化など、冷却性能を高める工夫を施すことができる点にあります。

「本格水冷」は、ユーザーが自由に手を加えることができるのが大きな特徴です。すなわち、ユーザーの創意工夫で性能を高めることができるわけですが、そのためには、費用的にも時間的にもコストを掛ける必要があるわけです。そもそも「本格水冷」は「簡易水冷」よりも導入コストは高めであり、組み立て難度も非常に高くなっています。クーラントの量を確かめるなどメンテナンスの手間も必要です。

その点、「簡易水冷」は、パソコンに組み込むのも簡単ですし、メンテナンスフリーで使えるので、ほとんど手間はかからず、初心者の方でも手軽に使用することができます。つまり、費用的にも時間的にも、コスト面で比較すれば、「簡易水冷」が圧倒的に優れていると言えます。逆に、コストを気にしないのであれば、改造やカスタマイズ好きな方にとっては、「本格水冷」はいじりがいのあるアイテムですし、構成パーツの自由度を活かし、パソコン内を自在にレイアウトするという楽しみ方ができるのも「本格水冷」の魅力となっています。

2.「簡易水冷」と空冷CPUクーラーの違い

ここまで、「簡易水冷」と「本格水冷」を比較してきましたが、「簡易水冷はやめとけ」という声には、「空冷式」と比べてのもの、または「水冷式」がそもそも抱える問題という2点も見逃せないところです。ここでは、ポイントを絞って、「簡易水冷」と「空冷CPUクーラー」の違いを見ていきましょう。

2-1.冷却性能

一般的に、空冷CPUクーラーよりも水冷ユニットのほうが冷却性能は高いと言われますが、製品によって大きな性能差があるため、絶対に水冷式のほうが冷えるとは言い切れないのが実状です。熱伝導性の高い金属を使用した大型ヒートシンクを備える高性能CPUクーラーの中には、水冷ユニットよりも冷却性能の高い製品も存在します。ただ、全体的には、水冷式のほうが冷却性能は高い傾向にあります。

水冷ユニットの冷却性能は、長時間、安定して冷やせるのが大きな特徴。高負荷の環境でもCPUなどの温度が上がりきるようなことなく、安定した冷却が期待できますので、長時間稼働が前提となるゲーミングPCや映像編集などを行うクリエイターPCには水冷式が最適な組み合わせとなります。また、急に負荷が高くなった際、一気に温度が上がるのを防ぐことができるのも水冷式のメリットと言えます。

2-2.静音性

空冷CPUクーラーは、冷却ファンによってヒートシンクの排熱を行うため、負荷が高くなり、発熱が増大するほど回転数も増えるため、騒音レベルも上がります。大型ファンを採用して回転数を抑えることで静音性を高めている製品もありますが、パソコンにおける騒音源のひとつであることは間違いありません。

一方、水冷ユニットの場合は、ラジエーターに冷却ファンが組み合わされます。基本的に120mmなら1基、240mmなら2基、360mmなら3基の120mm角ファンが使用されますので、大型ラジエーターを備えた水冷ユニットは、それだけ騒音レベルも高くなります。ただし、ラジエーターの冷却ファンは回転数をあまり上げる必要がないため、比較的静かなのも特徴。高負荷時でも低回転が保たれるので、アイドル時は空冷CPUクーラーのほうが静かな場合もありますが、高負荷時は圧倒的に水冷ユニットの静音性が高くなります。

ただし、あまり質の良くない水冷ユニットは、ポンプの駆動音やクーラントの循環音が気になる場合もありますので注意が必要です。

2-3.導入コスト

空冷CPUクーラーは比較的安価で入手できます。特に自作ユーザーは、リテール版のCPUに付属する、いわゆる純正クーラーを使用する方も少なくないため、パソコンを安定して動作させるためにはCPUの冷却が非常に重要であり、できるだけコストを掛けたい部分ではありますが、わざわざCPUクーラーにコストは掛けないという人も珍しくありません。

一方、多くの水冷ユニットは1~3万円程度のコストが必要で、ラジエーターサイズが大きくなるほど高くなる傾向にあります。ただ、空冷CPUクーラーでも高性能モデルになれば1万円を超える価格設定ものも多く、空冷、水冷に限らず、冷却性能にこだわる場合は、それに応じたコストが必要となるわけですが、両者を比較すれば、水冷ユニットのほうが導入コストは高くなります。

2-4.寿命

空冷CPUクーラーは、冷却ファンにトラブルや故障がない限り、使用し続けることが可能。基本的にはパソコンを購入してから買い替えるまでの期間に、空冷CPUクーラーの交換が必要となることはほとんどないかもしれません。

一方、水冷ユニットは、密閉性を高め、クーラントが蒸発しにくい構造にはなっていますが、完全に密閉することが難しく、ほんのわずかではありますが、徐々に蒸発して、クーラントが目減りしてきます。そして、チューブ内に空気が入ると、冷却効率が落ちてしまい、結果として交換が余儀なくされます。クーラントの蒸発以外にも、ポンプの故障や素材の劣化などのトラブルにより、交換や修理が必要となります。これが水冷ユニットの寿命であり、一般的に5~7年程度が目安と言われています。

水冷ユニットは密閉構造のため、寿命に繋がるサインに気づきにくいのが難点。メンテナンスフリーではありますが、CPUがしっかり冷却されているかなどを定期的に確認しておく必要があります。また、最近の水冷ユニットが品質が向上しているため、もっとも避けたい水漏れのトラブルはほとんど起こりません。ただし、絶対とは言い切れませんので、そのリスクも考えておく必要があります。

2-5.取り付け・レイアウトのしやすさ

空冷CPUクーラーは、CPUに取り付けるだけなので、製品による差はありますが、比較的簡単かつ短時間で装着することができます。一方、水冷ユニットの場合、CPUへの装着は空冷CPUクーラーとほとんど同じですが、さらにラジエーターの取り付けが必須。特に大型ラジエーターの場合は、PCケースによって取り付けができない場合もありますので、購入前に、設置スペースなどはしっかりと確認しておくことが重要です。また小型のPCケースの場合は、チューブの取り回しについてもスペースの確保が必要となります。

ただし、水冷ユニットのヘッド部分は比較的サイズが小さいため、CPU周りのクリアランスが比較的広く確保できるのが特徴。パソコン内の掃除やメンテナンスがやりやすいことに加え、メモリなどとの干渉を防ぐこともできます。

逆に空冷CPUクーラーは、サイズが大きくなると、マザーボードのレイアウトによっては、メモリやビデオカードに干渉することがありますし、PCケースによっては高さが足らずに側板が閉じられなくなるというトラブルが起こることもあります。

3.水冷ユニットの選び方

3-1.CPU性能・用途に合った冷却能力

簡易水冷の水冷ユニットを選ぶポイントは、CPUのTDP(熱設計電力)や用途・目的によって異なります。TDPが低く、あまり高負荷な作業を長時間行わない場合は、120mmラジエーターの水冷ユニットでも十分な冷却効果を得ることができます。逆にTDPの高いCPUを使ったり、高負荷の作業を長時間行うような方は、240mm以上のラジエーターでなければ、水冷ユニットの良さを活かすことができません。

特にゲーミングPCの場合は、高負荷かつ長時間の稼働になることが多いので、240mm以上のラジエーターを備えた水冷ユニットを選ぶことをおすすめします。

サイコムオリジナルAsetek 624S-M2 RGBポンプ仕様 + Noctua NF-F12 PWM x2 [240mm水冷ユニット]

3-2.PCケースとの互換性に注意

水冷ユニットを利用する場合、ラジエーターをPCケースに取り付ける必要があります。120mmサイズであれば、ほとんどのPCケースに取り付け可能ですが、240mm以上になると、取り付け位置が確保されているかを確認する必要があります。特に360mmや420mmといった大型ラジエーターの場合は、物理的に取り付けられないPCケースも少なくありません。

PCケースによって、トップやフロントなど取り付けられる位置は異なります。せっかく購入した水冷ユニットが取り付けられずに使用できない……といった事態に陥らないためにも、事前のチェックは非常に重要です。

3-3.信頼性・メーカー保証

水冷式の場合、水漏れなどのトラブルはパソコンにとって致命傷となるため、できるだけ避けたいリスクとなります。最近の簡易水冷は水漏れのリスクもかなり抑えられていますが、万が一に備えることが重要。そのためにも、信頼性の高いメーカーの製品で、十分な保証期間が用意されている製品を選ぶようにしましょう。

保証期間は3年以上を設定するメーカーが多く、中には6年保証をうたうメーカーもあります。水冷ユニットのトラブルは水漏れだけではありませんので、保証期間の長さもチェックしておきましょう。また、水漏れなどが発生した場合、CPUやマザーボードなどの周辺パーツの損害が基本的に保証対象外となることがほとんどですが、そのあたりの対応がどのようになっているかも確認しておきましょう。

サイコム サポートページ

3-4.デザインにも注目

特にゲーミングPCなどでLEDライティングなど見た目にもこだわっている方は、水冷ユニットのデザイン面にも注目してみましょう。PCケースの側面が透明パネルの方は、チューブの色ひとつで雰囲気が大きく変わってきます。

基本的にはPCパーツなので、無骨でシンプルなデザインの製品がほとんどですが、ヘッド部分にLEDが仕込まれていたり、チューブの色が特徴的なものなど、様々なデザインの製品が用意されています。

SilverStone VIDA 240 SLIM

4.水冷ユニットのメンテナンス方法

簡易水冷の水冷ユニットの多くはメンテナンスフリーです。クーラントの補充などの手入れは特に必要なく使用することができます。しかし、少しでも長く使用するために、さらには水冷ユニット以外のパーツに悪影響を及ぼさないためにも、定期的なパソコンのメンテナンスとあわせて、水冷ユニットの動作状況についても確認しておきましょう。

4-1.ラジエーターやファンのホコリを掃除する

簡易水冷に限らず、水冷式の冷却性能はラジエーターが支えています。ラジエーターが効率的にクーラントの排熱を行わないと、CPUを効果的に冷却することはできません。ラジエーター部分にホコリがたまると、空気の流れが悪くなり、冷却効率が低くなってしまうのです。パソコン内部を掃除する際は、エアダスターや柔らかいブラシなどを使って、しっかりとホコリを取り除くようにしましょう。

4-2.CPU温度をチェックする

簡易水冷の水冷ユニットが正常に動作しているかどうかを確認するためにはCPUの温度を計測することで判断できます。アイドル時や高負荷時のCPU温度を定期的に計測しておけば、水冷ユニットの異常をいち早く発見することができます。

アイドル時のCPU温度が安定しない、高負荷時にCPU温度が異常に高くなるといった場合、保証期間内であれば修理依頼、保証が切れている場合は交換が必須。異常を感じながら使い続けることは厳禁です。

4-3.ポンプとファンの異音を確認する

水冷ユニットのクーラントはポンプによって循環していますので、ポンプからは常に駆動音が発生しています。つまり音が鳴ること自体は特に問題ありませんが、いつもとは違う音が聞こえる場合は、気泡の発生やポンプの劣化などが考えられます。

ポンプが故障してしまうと、水冷ユニットはまったく機能しなくなってしまいますので、CPU温度の異常と同様、早急に対応する必要があります。

5.水冷ユニットを搭載したサイコムの注目BTOパソコン

5-1.サイコムの水冷ユニットへのこだわり

BTOメーカーであるサイコムのこだわりは「冷却」と「静音」。空冷式でも、冷却性能と静音性を追求したNoctua製の高性能CPUクーラーを採用していますが、水冷ユニットに関しても、品質に定評があるASETEK製を中心とした高品質な簡易水冷ユニットを採用しています。

水冷ユニットを標準搭載した「Aqua-Master」シリーズだけではなく、多くのモデルが、カスタマイズによって水冷ユニットを搭載できるようになっている点も大きな特徴。「G-Master Spear Mini」などのコンパクトモデルでももちろんオプションとして用意されています。また、ラジエーター部分にNoctua製の冷却ファンを採用することで、より高い冷却性能と静音性を実現しているのもサイコムならではです。

さらに、CPUだけではなく、GPUの冷却にも水冷ユニットを採用しているのがサイコムの強み。同社オリジナル設計の「Hydro LC Graphics」は、「NVIDIA GeForce RTX 50」シリーズに、簡易水冷ユニットを組み込むことで水冷化。CPUとGPUを2基の独立した簡易水冷ユニットで強力に冷却する「G-Master Hydro」および「Lepton Hydro」シリーズは、コアゲーマーから、クリエイティブなどプロの現場まで、幅広いハイエンドなニーズに応えるラインナップとして注目を集めています。

Hydro LC Graphics® GeForce RTX5080 16GB

そして、徹底した独自検証もサイコムの持ち味。ユーザーが安心して使用できるように、企画段階から独自で冷却性能、静音性、パフォーマンスの検証を実施。水冷ユニットに関しても、メーカー工場出荷時と同社組み立て後の2重工程で動作検証が行われているため、水漏れなどの不安なく使用することができるのです。

5-2.「Aqua-Master」シリーズ

ASETEK製の簡易水冷ユニットを標準で搭載した「Aqua-Master」シリーズは、ハイエンドCPUパワーを活かした作業を安定して、長時間稼働する用途に最適なラインナップ。「Intel Core Ultra」「Intel Core i」「AMD Ryzen」、それぞれのプラットフォームで展開されており、標準ではビデオカードは非搭載となっています。

CPUを中心とした構成ですが、もちろんカスタマイズによってビデオカードの搭載も可能。また水冷ユニットも標準では120mmのラジエーターモデルですが、カスタマイズによって240mmモデルの選択も可能。組み合わせるCPUや用途に応じて、最適なモデルをチョイスしましょう。

Aqua-Master Z890

Aqua-Master Z890】標準構成
CPUIntel Core Ultra 5 245K(4.2GHz、14コア/14スレッド)
メモリDDR5-5600 16GB(8GB×2)
マザーボードIntel Z890 チップセット
SSD500GB(SATA/2.5インチSSD)
ビデオカードCPU内蔵グラフィック
外形寸法幅230×奥行き515×高さ460mm

製品を見る

Aqua-Master X870A

Aqua-Master X870A】標準構成
CPUAMD Ryzen 5 9600X(3.9GHz、6コア/12スレッド)
メモリDDR5-5600 16GB(8GB×2)
マザーボードAMD X870 チップセット
SSD500GB(SATA/2.5インチSSD)
ビデオカードCPU内蔵グラフィック
外形寸法幅230×奥行き515×高さ460mm

製品を見る

水冷PCをもっと見る

5-3.デュアル水冷PC「G-Master Hydro」シリーズ

パソコン内の2大熱源となるCPUとビデオカード(GPU)を、2基の独立した簡易水冷ユニットで冷却する「デュアル水冷」によって、最大限のパフォーマンスを引き出す「G-Master Hydro」シリーズは、サイコムのゲーミングPCにおけるフラッグシップモデル。ピーク時には標準の空冷CPUクーラーよりも10~15℃ほど低く冷却することが可能となっています。

CPUの冷却は、ASETEK製の簡易水冷ユニットを採用。標準では240mmラジエーターのモデルが搭載されていますが、カスタマイズによって360mmモデルを選ぶことも可能となっています。そして注目のビデオカードは、サイコム独自の技術によって水冷化を実現した「Hydro LC Graphics」で、「NVIDIA GeForce RTX 50」シリーズに240mmの大型ラジエーターを採用したサイコムオリジナル高性能水冷ユニットが組み込まれています。

CPUはもちろん、ビデオカードも簡易水冷ユニットを採用しており、メンテナンスフリーで使用可能。「NVIDIA GeForce RTX 50」シリーズでは、「RTX 5070 Ti」と「RTX 5080」の2モデルが「Hydro LC Graphics」として展開されていますが、ファン待望の「RTX 5090」に360mmラジエーターを組み合わせた「Hydro LC Graphics Plus」も登場し、搭載モデルは現在「G-Master hydro Extreme」としてラインナップされています。

Hydro LC Graphics® Plus GeForce RTX5090 32GB

また、容量26.1リットルのコンパクトな筐体にデュアル水冷を搭載した「G-Master Hydro」シリーズも注目。こちらはCPUの水冷ユニットにSilverStone製の240mmモデルが採用されています。

G-Master Hydro Z890

G-Master Hydro Z890】標準構成
CPUIntel Core Ultra 7 265K(3.9GHz、20コア/20スレッド)
メモリDDR5-5600 32GB(16GB×2)
マザーボードIntel Z890 チップセット
SSD1TB(NVMe/M.2 SSD)
ビデオカードサイコムオリジナル Hydro LC Graphics® GeForce RTX5070 Ti
外形寸法幅240×奥行き547×高さ475mm

製品を見る

G-Master Hydro B850 Cube

G-Master Hydro B850 Cube】標準構成
CPUAMD Ryzen 7 9700X(3.8GHz、8コア/16スレッド)
メモリDDR5-5600 16GB(8GB×2)
マザーボードAMD B850 チップセット
SSD1TB(NVMe/M.2 SSD)
ビデオカードサイコムオリジナル Hydro LC Graphics® GeForce RTX5070 Ti
外形寸法幅202×奥行き451×高さ286mm

製品を見る

G-Master Hydro Extreme Z890i

G-Master Hydro Extreme Z890i】標準構成
CPUIntel Core Ultra 9 285K(3.7GHz/24コア/24スレッド)
メモリDDR5-5600 64GB(32GB×2)
マザーボードIntel Z890 チップセット
SSD2TB(NVMe/M.2 SSD)
ビデオカードサイコム オリジナル Hydro LC Graphics® Plus GeForce RTX5090 32GB
外形寸法幅240×奥行き547×高さ475mm

製品を見る

G-Master Hydro Extreme X870A

G-Master Hydro Extreme X870A】標準構成
CPUAMD Ryzen 9 9950X3D(4.3GHz/16コア/32スレッド)
メモリDDR5-5600 64GB(32GB×2)
マザーボードAMD X870 チップセット
SSD2TB(NVMe/M.2 SSD)
ビデオカードサイコム オリジナル Hydro LC Graphics® Plus GeForce RTX5090 32GB
外形寸法幅240×奥行き547×高さ475mm

製品を見る

5-4.デュアル水冷PC「Lepton Hydro」シリーズ

CPUとビデオカードを簡易水冷ユニットによって個別に冷却する「デュアル水冷」を採用し、デジタルクリエイションやAI開発に最適なワークステーションモデルとしてラインナップされているのが「Lepton Hydro」シリーズです。

CPUはもちろん、サイコム独自の工夫によってビデオカードも水冷化されていることで、高い負荷の作業においても、安定した動作が期待できるほか、長時間に作業がおよんでも、しっかりと冷却することが可能。冷却性能と静音性の両立により、プロフェショナルの現場を支える唯一無二のハイエンドモデルとなっています。

「Lepton Hydro」シリーズの構成は、基本的に「G-Master Hysro」と同じで、「NVIDIA GeForce RTX 5090」の水冷モデルを搭載した「Lepton Hydro Extreme」もラインナップされています。また、32コア/64スレッドの「AMD Ryzen Threadripper 9970X」を標準搭載したハイエンドワークステーションやコンパクトモデルの「Lepton Hydro Mini」シリーズもラインナップされています。

Lepton Hydro WSX870A

Lepton Hydro WSX870A】標準構成
CPUAMD Ryzen 9 9950X(4.3GHz、16コア/32スレッド)
メモリDDR5-5600 32GB(16GB×2)
マザーボードAMD X870 チップセット
SSD1TB(NVMe/M.2 SSD)
ビデオカードサイコムオリジナル Hydro LC Graphics® GeForce RTX5080
外形寸法幅220×奥行き469×高さ490mm

製品を見る

Lepton Hydro WSZ890 Cube

Lepton Hydro WSZ890 Cube】標準構成
CPUIntel Core Ultra 7 265K(3.9GHz、20コア/20スレッド)
メモリDDR5-5600 32GB(16GB×2)
マザーボードIntel Z890 チップセット
SSD1TB(NVMe/M.2 SSD)
ビデオカードサイコムオリジナル Hydro LC Graphics® GeForce RTX5080
外形寸法幅202×奥行451×高さ286mm

製品を見る

Lepton Hydro Extreme WSZ890i

Lepton Hydro Extreme WSZ890i】標準構成
CPUIntel Core Ultra 9 285K(3.7GHz/24コア/24スレッド)
メモリDDR5-5600 64GB(32GB×2)
マザーボードASRock Z890 Steel Legend WiFi
SSD2TB(NVMe/M.2 SSD)
ビデオカードサイコム オリジナル Hydro LC Graphics® Plus GeForce RTX5090 32GB
外形寸法幅240×奥行き547×高さ475mm

製品を見る

Lepton Hydro Extreme WSX870A

Lepton Hydro Extreme WSX870A】標準構成
CPUAMD Ryzen 9 9950X3D(4.3GHz/16コア/32スレッド)
メモリDDR5-5600 64GB(32GB×2)
マザーボードASRock X870 Taichi Creator
SSD2TB(NVMe/M.2 SSD)
ビデオカードサイコム オリジナル Hydro LC Graphics® Plus GeForce RTX5090 32GB
外形寸法幅240×奥行き547×高さ475mm

製品を見る

デュアル水冷PCをもっと見る

6.まとめ

最近では、「簡易水冷」の水冷ユニットにも大型ラジエーターを組み合わせる製品が多くなったことで、「簡易水冷」でも問題なくCPUを冷却することが可能となっており、決して「本格水冷」に劣る存在ではありません。逆にメンテナンスフリーで、使い勝手も向上しているため、初心者でも手軽に水冷式を取り入れることができるようになっています。

空冷CPUクーラーに比べて寿命が短いこと、水漏れなどのリスクが決してゼロではないこと、ある程度の導入コストが必要なことなど、「簡易水冷はやめておけ」という言葉も、まったく根拠がないわけではありませんが、特に高負荷時の冷却性能や静音性は、それを上回るメリットと言えるかもしれません。

今回は、簡易水冷の特徴を、本格水冷や空冷CPUクーラーと比較しながら解説していきました。特に最近の簡易水冷は保証期間も長く、水漏れの危険性も低い製品が数多く登場しています。特にゲームやクリエイティブなどの用途で、長時間、高負荷な作業を行う人はぜひ本記事を参考にして、水冷ユニットの導入を検討してみてください。

BTOパソコン売れ筋ランキング

(10月1日~10月31日)

  • 1位
    1位G-Master Spear X870A
    Zen5アーキテクチャ採用のAMD Ryzen 9000シリーズを搭載するミドルタワー型ゲーミングPC。高性能と高拡張性を実現したゲーマー向けハイエンドモデルです。
  • 2位
    2位Radiant GZ3600X870A
    Zen5アーキテクチャ採用のAMD Ryzen 9000シリーズ搭載ATXミドルタワー型モデル。BTOならではのカスタマイズの幅が広いスタンダードなモデルです。
  • 3位
    3位G-Master Velox Campio Edition 2025
    ※こちらの商品は販売終了しました。
    【新登場!】G-Master Velox III AMD Edition
  • 4位Radiant GZ3600Z890
    最新のIntel Core Ultraプロセッサを搭載するATXミドルタワー型モデル。BTOならではのカスタマイズの幅が広いスタンダードなモデルです。
  • 5位G-Master Spear Z890
    AI時代の新CPU、Intel Core Ultraプロセッサを搭載するミドルタワー型ゲーミングPC。高性能と高拡張性を実現したゲーマー向けハイエンドモデルです。
  • 6位Silent-Master NEO B850A
    こだわりのNoctua製空冷CPUクーラーを採用し、エアーフローと静音性のバランスを極めた静音PC。AMD Ryzen 9000シリーズを搭載するATXミドルタワー型モデル。
  • 7位Premium Line Z890FD
    「いいものを永く」のコンセプトで標準2年保証、無償オーバーホールなど末永くご愛用いただくためのアフターサービスが充実した、Intel Core Ultraプロセッサ搭載のプレミアムPC。
  • 8位G-Master Spear Mini B850A
    AMD Ryzen 9000シリーズを搭載する容量26.3リットルとコンパクトながら幅広いカスタマイズ性とミニマルなデザインを持ち合わせたゲーミングPC。
  • 9位G-Master Velox II Intel Edition
    高品質なパーツを採用した納得の標準構成と厳選されたオプションパーツでシンプルなカスタマイズが楽しめる新機軸のゲーミングPC!第14世代インテル(R)Core(TM)プロセッサ搭載モデルです。
  • 10位Lepton Hydro WSX870A
    冷却性能と静音性のバランスを高次元で両立したデュアル水冷ワークステーション。Zen5アーキテクチャ採用のAMD Ryzen 9000シリーズと、サイコム独自に水冷化したGeForce RTX5000シリーズの組み合わせで、最強のクリエイション環境を実現します。