サイコム、メディア総合イベント「Inter BEE 2025」にブース出展 - 法人向け展開への新たな第一歩

サイコムは、2025年11月19日(水)~21日(金)の期間、千葉・幕張メッセで開催されたメディア総合イベント「Inter BEE(インタービー) 2025」にて、同社のパソコンを展示するブースを出展しました。

「Inter BEE」は、日本随一の音・映像・通信のプロフェッショナルが一堂に会し、メディア&エンターテインメント産業の最前線から、コンテンツビジネスに関わる最新のイノベーションを提案する国内最大のメディア総合イベント。「放送機器展」として1965年にスタートして以来、60年を超える年月を重ね、今年も約34,000人が会場を訪れるなど、大きな盛り上がりを見せました。

ゲーミングPCを中心に、コンシューマーを対象としたイベントに参加することが多かったサイコムですが、今回は映像関連のプロフェッショナルを中心とした、いわゆる法人を対象とした展示を展開。プロフェッショナル向けに開発されている「LEPTON」シリーズを中心に、パソコンそのものより、実際のデモンストレーションを交えたソリューションベースでの展示が多くの注目を集めました。

サイコムブースの展示内容

今回の展示で話題を集めたのが、「NVIDIA GeForce RTX 5090」をサイコム独自の工夫で水冷化した「Hydro LC Graphics Plus GeForce RTX5090 32GB」を採用し、高性能なCPU(「AMD Ryzen 9 9950X3D」)とGPUを独立して水冷化したウルトラハイエンドワークステーション「Lepton Hydro Extreme WSX870A」を使用して、8KのN-RAW映像をレンダリングする速度を、「Intel Core i9-10900K」と「GeForce RTX 3090 24GB」を組み合わせた“5年前のハイエンドPC”と比較するデモンストレーション。

使用された素材は30秒の映像ですが、倍以上の速度差が計測されるなど、実際に現場で使用する長尺の映像であれば、さらに大きな効果が期待できます。

今回初公開の「Lepton Hydro Extreme WSX870A」

また、「Lepton Hydro Extreme WSX870A」と基本的な構成は同じですが、ラックマウント型としても使用可能な「Lepton Hydro Extreme WSX870A RM Edition」では、PTZカメラで撮影している4K60フレームの映像に、リアルタイムで4K60フレームのポリコンを重ねるというデモンストレーションを実施。
長時間かつ高負荷な作業が求められるプロの現場でも、デュアル水冷を採用したシステムを使用すれば、安定して動作できることを示していました。
そして、Ryzenの帯域にはまだ余裕があるため、キャプチャーデバイス「DeckLink 8K Pro」が搭載可能なオプションも用意される予定となっています。

こちらも初公開の「Lepton Hydro Extreme WSX870A RM Edition」

なお、サイコムブース近くにブースを構え、xRスタジオシステムを提案する「ナックイメージテクノロジー」では、ブース内にスタジオセットを用意し、リアルタイムで3DCGの背景をクロマキー合成するデモンストレーションが実施されていましたが、その処理にもサイコムのPCが使用され、高いパフォーマンスを存分に発揮していました。

「ナックイメージテクノロジー」ブース

そして、コンパクトなサイズ感と高いパフォーマンスが魅力の「Lepton Mini B850A」を使ったリアルタイムレンダーのデモンストレーションでは、57枚の8K素材をレンダリングしながらV-rayによってリアルタイムでライティングを追加。

「AMD Ryzen 9 9950X」と「NVIDIA GeForce RTX 5070 Ti 16GB」を組み合わせた構成ですが、ブースを訪れた方は、クライアント先へ持ち込んで、デモなどが行えるコンパクトなサイズ感を高く評価していました。

「Lepton Mini B850A」

サイコムが仕掛ける法人向け戦略

数年前から法人向けのウェイトを増やしつつあるサイコムですが、「これまでゲーミングPCなど個人向けを中心に展開してきたので、いざ法人に売ろうとしても、その方法がよくわかっていなかった」と振り返るサイコム 代表取締役CEOの河野孝史さん。

そこでまずはハイエンドPCが求められる業界として、CG業界をターゲットに定め、『CGWORLD』などの出版事業やソフトウェア・ハードウェア販売を行うボーンデジタルと業務提携を締結。サイコムのハイエンドPCの法人向け販売がボーンデジタルによって2025年4月28日から開始されました。

「法人向けに販売するためには、まずその業界を知る必要がある」という河野社長。「いきなりハイエンドPCを持っていくというのもなかなか難しいですし、そもそもタッチポイントをいかに作るかが問題」との課題感から、「その意味では、ボーンデジタルさんは、CG業界のど真ん中にいる会社ですから、そこと販売提携を結び、我々のパソコンを売っていただくのが現状ではベスト」との考えを示しました。

この4月からスタートしたボーンデジタルによる法人向け販売が非常に好調なことを受け、次なるターゲットとして見定めたのが映像を中心とした放送機業界。映像の制作、編集にも当然ハイエンドPCは不可欠な存在です。「もちろん、この業界についても、我々が直接営業を仕掛ける知見もネットワークも不足していますから、理想を言えば、この業界でも販売提携を結べるのがベスト」としながらも、「ただ提携会社を探すだけでなく、業界に対して、我々がどのようなパソコンを販売しているかを知って頂く必要がある。いわば売っていただくための側面支援として、我々のハイエンドPCを見ていただく機会を作る必要がある」。この考えが今回の「Inter BEE」初出展に繋がったそうです。

「業界の方とお話をして、業界が求めるニーズを抑えておくことは非常に大切」という河野社長は、「特にこの業界が求めているのは、単なるパソコンのスペックではなく、何ができるか、システム全体としてのソリューションを提示することが重要」であり、「ここで得た知見を開発に活かさなければ意味がない」と力を込めます。ただハイスペックな構成にするのではなく、必要に応じた、ニーズにあったパソコン、そしてワークステーションを開発する。つまり、今後の開発のヒントを得ることも、「Inter BEE」のような法人向けイベントに出展する意義となるわけです。

「これまでから、ユーザーの方の意見を伺いながら製品開発を行ってきましたが、もっと良い製品を、もっとスムーズに開発していくためには、実際にプロの現場で働いている方の意見をいただくことも重要」と言葉を続ける、サイコム マーケティング担当の佐藤明さんは、「最先端の技術を知り、現在のパソコンの性能が間に合っているのかどうかを確かめる意味でも、積極的に前に出ていかなければならない」という思いを打ち明けます。

そして、プロの現場であっても、すべての人がパソコンに詳しい訳ではないという前提から、「今のパソコンならこういったことができますとか、コンパクトでも静音性やパフォーマンスはしっかり担保されていますとか、そういったパソコンの現状を知っていただくことも目的のひとつ」という佐藤さん。今回の出展は、業界の最新事情を知って開発に結びつけるだけでなく、逆に、「今のパソコンはここまでできる」ということを業界に知ってもらうことも重要との考えを示します。

実際にブースを出展してみた感想としては、「思っていた以上に、サイコムのパソコンを実際に使っていただいている方が多い」と笑顔を見せる佐藤さん、「Lepton Hydro Extreme」と、5年前のハイエンド構成のパフォーマンスの差に驚く方や、持ち運びが可能な「Lepton Mini」のコンパクトなサイズ感を高く評価していただける方など、様々な方と有意義なコミュニケーションを図ることができたそうです。

一方、河野社長は「これまでのように、良いパソコンを作って、WEBサイトに載せて、気に入った方に買っていただくというやり方は、法人では通用しません」と、現状を冷静に把握し、「相手の話を聞き、パソコンの使用目的を確認し、現状で困っていることは何か、どういったニーズがあるのかを汲み取り、実際の販売に繋げていく。もちろん、これまでのユーザー向けイベントでも、同じような説明や聞き取りは行っていましたが、法人向けはよりシビア。サイコムには法人営業を経験している社員はほとんどいないので、これまでほとんどやってこなかった法人への対応を学べるという点でも、今回の出展には意味があった」と、販売、開発だけでなく、社員育成という点でも今回の出展には意味があったと河野社長は振り返ります。

そして、今後はさらに法人向けイベントへも積極的に出展していくという意向を示す河野社長ですが、「もちろん、ユーザー向けのイベントにも出展しますし、皆さんの話を聞いて、開発に結びつけるというスタンスも変わりません」と、個人向けに対しても変わらぬ姿勢を強調。ただ、法人は個人よりもタッチポイントが少ないため、「積極的に動いて、業界を知り、より的確な商品開発に繋げる。それに加えて、パートナーシップを結ぶことで販売にも結びつける。今回の出展は、こういった地道な活動の第一歩になると思います」と、あらためて「Inter BEE」への出展意義を明かしてくれました。

また、「今回は法人向けイベントということでプロフェッショナル向けの『Lepton』シリーズを中心に紹介させていただいていますが、ゲーミングPCはゲーミングPCで品質を高めていきますし、静音PCは静音PCで、『Premium Line』シリーズは『Premium Line』シリーズで、しっかり磨き上げ続けます」と力強く宣言する佐藤さん。あくまでも今回は法人向けをフィーチャーした結果ではあるものの、「業界のニーズによって、『Silent-Master』シリーズが求められるシチュエーションもあれば、『Premium Line』シリーズのような長い保証期間が刺さる場合もあると思います。法人だから『Lepton』ということではなく、しっかりとニーズを受け止め、それに相応しいパソコンを開発、提案していけるようにしていきたい」と、今後の方針を示しました。

プロフェッショナル向けPC「Lepton」シリーズ

Lepton WS3900W790

Lepton WS3900W790】標準構成
CPUIntel Xeon w7-2495X(2.5GHz、24コア/48スレッド)
メモリDDR5-4800 64GB(16GB×4)
マザーボードIntel W790 チップセット
SSD1TB(NVMe/M.2 SSD)
ビデオカードNVIDIA GeForce RTX 5070(12GB)
外形寸法幅242×奥行き544×高さ530mm

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Lepton WS3600X870-A

Lepton WS3600X870-A】標準構成
CPUAMD Ryzen 7 9700X(3.8GHz、8コア/16スレッド)
メモリDDR5-5600 16GB(8GB×2)
マザーボードAMD X870 チップセット
SSD500GB(SATA/2.5インチSSD)
ビデオカードNVIDIA RTX A400(4GB)
外形寸法幅210×奥行き495×高さ484mm

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Lepton Mini B860i

Lepton Mini B860i】標準構成
CPUIntel Core Ultra 5 235(3.4GHz/14コア/14スレッド)
メモリDDR5-5600 32GB(16GB×2)
マザーボードASRock B860I WiFi
SSD2TB(NVMe/M.2 SSD)
ビデオカードNVIDIA GeForce RTX5060 Ti (16GB)
外形寸法幅167×奥行き363×高さ247mm

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Lepton Mini B850A

Lepton Mini B850A】標準構成
CPUAMD Ryzen 7 9700X(3.8GHz/8コア/16スレッド)
メモリDDR5-5600 32GB(16GB×2)
マザーボードGIGABYTE B850I AORUS PRO(rev.1.1)
SSD2TB(NVMe/M.2 SSD)
ビデオカードNVIDIA GeForce RTX5060 Ti (16GB)
外形寸法幅167×奥行き363×高さ247mm

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BTOパソコン売れ筋ランキング

(10月1日~10月31日)

  • 1位
    1位G-Master Spear X870A
    Zen5アーキテクチャ採用のAMD Ryzen 9000シリーズを搭載するミドルタワー型ゲーミングPC。高性能と高拡張性を実現したゲーマー向けハイエンドモデルです。
  • 2位
    2位Radiant GZ3600X870A
    Zen5アーキテクチャ採用のAMD Ryzen 9000シリーズ搭載ATXミドルタワー型モデル。BTOならではのカスタマイズの幅が広いスタンダードなモデルです。
  • 3位
    3位G-Master Velox Campio Edition 2025
    ※こちらの商品は販売終了しました。
    【新登場!】G-Master Velox III AMD Edition
  • 4位Radiant GZ3600Z890
    最新のIntel Core Ultraプロセッサを搭載するATXミドルタワー型モデル。BTOならではのカスタマイズの幅が広いスタンダードなモデルです。
  • 5位G-Master Spear Z890
    AI時代の新CPU、Intel Core Ultraプロセッサを搭載するミドルタワー型ゲーミングPC。高性能と高拡張性を実現したゲーマー向けハイエンドモデルです。
  • 6位Silent-Master NEO B850A
    こだわりのNoctua製空冷CPUクーラーを採用し、エアーフローと静音性のバランスを極めた静音PC。AMD Ryzen 9000シリーズを搭載するATXミドルタワー型モデル。
  • 7位Premium Line Z890FD
    「いいものを永く」のコンセプトで標準2年保証、無償オーバーホールなど末永くご愛用いただくためのアフターサービスが充実した、Intel Core Ultraプロセッサ搭載のプレミアムPC。
  • 8位G-Master Spear Mini B850A
    AMD Ryzen 9000シリーズを搭載する容量26.3リットルとコンパクトながら幅広いカスタマイズ性とミニマルなデザインを持ち合わせたゲーミングPC。
  • 9位G-Master Velox II Intel Edition
    高品質なパーツを採用した納得の標準構成と厳選されたオプションパーツでシンプルなカスタマイズが楽しめる新機軸のゲーミングPC!第14世代インテル(R)Core(TM)プロセッサ搭載モデルです。
  • 10位Lepton Hydro WSX870A
    冷却性能と静音性のバランスを高次元で両立したデュアル水冷ワークステーション。Zen5アーキテクチャ採用のAMD Ryzen 9000シリーズと、サイコム独自に水冷化したGeForce RTX5000シリーズの組み合わせで、最強のクリエイション環境を実現します。